良い病院か否かを見定める要素の一つとして、職員の離職率から判断する方法が上げられます。職員が辞める事なく長く勤務しているような職場は、職員にとって長く働くだけの何らかの魅力のある職場の可能性が高く、働く職員にとって良い病院という事が言えるのではないでしょうか。
今までに私がやり取りをさせて頂いた医療機関の中にも、離職率が低く多くの職員が長い期間勤務しているようなところはいくつも見てきました。改めてそのような医療機関について思い起こしてみたところ、ある共通点を見出す事が出来ました。それは「事務方がしっかりと機能している病院」という事でした。
一般的には医療機関内のヒエラルキーを考えれば、その頂点に存在するのは医師である場合が多いかと思いますが、中には医師と同等に事務方が多くの権限を握りつつ、病院の経営に大きく踏み込んでいるような医療機関も存在するのです。
では何故このような医療機関が良いのかと言いますと、その根拠には大きく分けて二つの理由が存在するのではないかと考えております。
一つ目は事務方が多くの権限を持ち経営面に対しても事務方が大きく関わり、かじ取りを行っているような場合です。このような医療機関の場合、医師は医療に専念できる環境になっているのです。それによって医師と事務方が本来あるべきポジションでの役割を全うしているため、それぞれが高いパフォーマンスを発揮出来ているという事が言えます。
二つ目は、そもそも事務方にも権限を与える事が出来る経営者の存在です。多くの経営者は重要な権限を自らが掌握したいと考えるはずですが、それを事務方にも与えるという事は、職員との暗黙の信頼関係が成立している事が伺えます。つまり「経営者は職員のために」、「職員は経営者のために」というように組織全体が同じ方向を向いて仕事をしていますのでブレが少ないため長く働く事が可能なのです。
良い病院か否かを見定める事は、そう簡単な事ではありませんが、今回ご提案した事も一つの尺度として捕えてみて下さい。今までと違った角度から見定めが出来るかもしれません。