ここ最近ですが、精神科の先生方より頂くご相談内容を拝見しておりますと、明らかに以前よりもクリニックでの就業に関するご相談を頂くケースが増えて参りました。
精神科の病院では、医師は充足している所が多くなっており、大々的に医師の募集を行っている所が少なくなりつつあります。
むしろ病床数を削減するなど、精神科医の働き口が少なくなる傾向もあって、求人数自体が減少傾向にあります。
また仕事内容に関しましても、病院では病棟管理を行う事になり、それに付随して当直に入って頂く事が求められる場合も多くなります。
更に給与額などの労働条件に関しましても、クリニックの条件の方が好待遇になっている事も多く、クリニックの求人に目移りしてしまう事も少なくないようです。
もう一点、ご存知の通り精神科の病院は遠方に位置している事が多く、アクセスが不便であったりするなど、求人数、労働条件、利便性など様々な面でクリニックの求人の方が病院の求人を圧倒している部分が多くなっております。
こういった事からも、クリニックに興味をお持ちになられる先生方の人数が増えつつある状況になってきており、実際にご入職される先生方も増えてきています。
しかし、一方で「もうクリニックでの勤務は懲り懲りです。」という事で、クリニックではなく病院での勤務をご希望される先生方もいらっしゃいます。
どのような理由から病院での勤務をご希望されるのかと言いますと、その理由として挙げられるものは大きく分けて4つの原因が潜んでいると考えております。
1.慢性的な疲弊(ワンパターンな診療と時間的制約
①ベルトコンベヤー式の診察: 保険診療のルール(いわゆる通院精神療法の5分ルール)もあり、短時間で多くの患者を診察し続ける必要が生じます。
一人ひとりとじっくり向き合いたいという理想と、経営や効率を重視せざるを得ない現実とのギャップに苦しむケースが多いです。
②同じことの繰り返し: 薬の調整や傾聴が主な業務となるため、医療的な処置が少なく、単調に感じてしまうことがあります。
2.強い精神的ストレス
①感情のキャパシティの限界: 強い不安や怒り、抑うつ状態にある患者を1日数十人単位で相手にするため、患者のネガティブなエネルギーをダイレクトに浴びてしまい、医師自身の心が削られてしまいます(二次受傷・バーンアウトのリスク)。
②予期せぬトラブルやクレーム: 薬に対する強いこだわりや、医師に対する過度な依存、理不尽な要求など、対人関係のトラブルに巻き込まれやすい環境です。

3.やりがい・治療の手応えの感じにくさ
①慢性疾患との付き合い: 精神疾患は長期化することが多く、「病気が劇的に治った」という達成感を得にくい分野です。
②環境調整の限界: 薬物療法やカウンセリングを行っても、患者の根本的な原因(職場環境や家族問題)が変わらないため、改善と悪化を繰り返す患者を前に無力感を抱くことがあります。
4.クリニックの経営者との軋轢
①経営効率 vs 医療の質: 経営者は回転率やコスト削減を重視し、医師は一人ひとりへの丁寧な診察や高額な最新医療機器の導入を望むことで対立します。
②歩合給のトラブル: 売上(自費診療や検査数)に連動する給与体系の場合、不要な検査や過剰な営業行為をめぐり、医療倫理の観点から衝突が起きます。
③勤務シフトと人員配置: 経営者が利益確保のために医師の勤務日数を削ったり、診察時間を延長したりすることで、医師の過労や不満が蓄積します。
以上のような理由になります。
とは言いましても実際にはクリニックでご活躍されている先生方も多数在籍されていらっしゃる事からも、必ずしもクリニックで勤務して頂く事が悪い訳ではありません。
先生方がご勤務される際に何を求めていて、それを叶えるために相応しい職場はどこであるのかをしっかりと見極めて頂く事が、どの職場で勤務すべきなのかを考える際に非常に重要な要素になるのではないかと思います。
クリニックでの勤務をご検討されていらっしゃる際には、こういった事が起きる可能性があるという事を視野に入れつつご検討して頂けると良いのではないかと思います。
是非ご参考にして頂けますと幸いです。