精神科医の先生方の年収は、単に「平均いくら」と数字だけで語れるものではありません。
勤務先の種類や地域、経験年数、資格の有無など複数の要素が絡み合って決定されます。
さらに、人事評価の内容や働き方の柔軟性も長期的な収入に影響します。
今回は、精神科医の先生方の年収を左右する要素と評価のポイントを整理していきたいと思います。
~~年収を左右する基本要素~~
■勤務先の違い
精神科医は勤務先によって年収水準が大きく異なります。
クリニック勤務の医師は病院勤務より比較的高い傾向がある一方、売上重視のため休憩時間を含めた拘束時間が長いケースも多いです。
精神科病院では病棟管理や当直があるため、外来中心のクリニックと比べ業務幅が広いのですが、残業が少なく、安定した給与が期待できます。
また、公立病院は給与テーブルが硬直的で福利厚生が手厚い一方で出来高加算が少ないのに対し、民間病院は報酬の上振れ幅が大きく、医長や副院長クラスでは2,000万円以上の提示も珍しくありません。
■地域差と年齢
給与額は都市部より医師不足の地方では高くなります。
首都圏や大都市圏では年収1,200万〜1,500万円程度(常勤先)が相場ですが、過疎地域では2,000万円を超える求人もあります。
また年齢別では20代は研修医給与のため低く、30代で指定医取得により上昇、40〜50代がピーク、60代以降は嘱託や非常勤契約で下がる傾向があります。
■勤務形態と働き方
常勤医の年収は大よそ1,200万〜1,800万円の幅に収まっており、非常勤では時給1万円〜1.3万円程が一般的で、週1〜2日勤務でも副収入を得られます。
当直については1回あたり3万〜4万円程の手当が支給されるため、月数回の当直で年間数百万円の差がつきます。
一方、当直なしの求人は人気が高いですが、年収が抑えられる傾向があります。
また近年ではオンライン診療の広がりによって、柔軟な働き方にも注目が集まっています。
~~資格とポジションがもたらす影響~~
■精神保健指定医
精神保健指定医は強制入院判定や行動制限の可否判定など法定業務を担う資格で、病院経営に直結します。
取得には5年以上の臨床経験や指定研修などが必要ですが、指定医が不在だと病床稼働率が下がるため、多くの病院が手当を支給して常勤確保と資格取得をした先生の定着を優先しています。
弊社リノゲートが行なったデータでは、全国の民間病院勤務の先生方が指定医を取得後に年収がアップした額は100~300万円程でした。
■サブスペシャリティ
指定医取得後に専門性を付ける先生方も多くいらっしゃいます。
例えば、児童精神や老年精神、依存症などのサブスペシャリティや産業医資格を組み合わせると、条件交渉が有利になり、企業でのメンタル外来や講演依頼など副収入の機会が広がります。
さらに、管理職に就くことで数百万円規模の役職手当が追加される例も少なくありません。
■ポジションとキャリア戦略
年収を最大化するためには「資格×ポジション×場所」を掛け合わせるのが効果的です。
可能であれば早い時期に精神保健指定医を取得し、30代後半に医長や副院長など管理職を目指しつつ、地域インセンティブの高い病院を選べば勤務医でも2,000万円以上、開業医なら3,000万円台も射程に入るとの試算もあります。
早期に資格取得をクリアすると、年収アップだけでなくキャリアの選択肢も広がるのです。
※ 精神科医の年代別の年収やキャリアアップついては以下の記事でも紹介をしております。
~~評価のポイントと給与決定の仕組み~~
■人事評価制度
医療機関における人事評価は、スタッフ一人一人の役割や成果を可視化し、組織の方向性と日常業務を結びつけることを目的としています。
とある病院では、評価項目には行動評価・成果評価・能力評価の3つがあり、勤務態度や協調姿勢、患者やチームへの責任ある対応、目標達成度、知識・技術・判断力などを多面的に評価しています。
また性格や人格をプラスαとしている医療機関もあるようです。(個人の貢献度が高くてもチームの雰囲気や意識に悪影響を及ぼすような医師の評価は低いです。)
■昇給のパターン
精神科医の昇給には大きく3つのパターンがあります。
①年齢や勤続年数に応じて上がるケース ②個人の貢献度や病院全体の業績に連動して上がるケース ③精神保健指定医など資格取得に伴うケースです。
特に二つ目の業績連動型では、患者数増加への貢献が評価されます。
医療機関によって評価制度や昇給の有無が異なるため、転職前に確認することをお勧めします。
~~まとめ~~
精神科医の年収は勤務先の種類や地域、年齢、資格、ポジション、働き方など多くの要素で決まります。
特に地方や民間病院では高額報酬が期待できる一方、都市部や公立病院では給与が抑えられるケースが多く見られます。
精神保健指定医の資格やサブスペシャリティは年収アップの重要な鍵であり、早期取得とキャリア戦略によって2,000万円以上の年収も射程に入りますが、一方で、日々の診療に対する姿勢やチームへの貢献といった人事評価も報酬に反映されるため、数字に表れにくい部分への努力も欠かせません。
資格取得でキャリアの幅を広げながら、やりがい・給与・働きやすさといった優先事項を整理しながら長期的なプランを描くことが非常に重要です。