転職の先に必要な心構え――変化の時代を生き抜く「医療機関との信頼関係」の築き方

転職活動も大詰めに差し掛かり、正式に採用が決定しますと、先生方と医療機関との間で雇用契約を締結する段階へと進みます。
契約書を取り交わす以上、その記載内容を遵守して勤務することが大前提となります。
しかしここで一つだけ、ぜひ先生方の頭の隅に留めておいていただきたい事項があります。
それは、「契約締結時」と「時間の経過」によって、職場の環境が大幅に変わる可能性があるということです。
特に長くご勤務されるほど、このような事態が起こる確率は高くなります。
実際に環境が激変した際、どのように対応するかが、その後のキャリアを大きく左右します。

医療機関側から受ける「勤務条件変更」の打診
例えば、以下のようなケースは決して珍しくありません。
・当直の有無: 当初は「当直なし」で契約していたが、他の医師の退職により当直枠が空き、病院側から入ってほしいと懇願される。
・勤務日数: 当初は「週4日」の契約だったが、状況の変化により「週5日」勤務をお願いされる。
・担当病棟: 「慢性期病棟」の担当として入職したものの、病院の方針転換(急性期への舵切り)に伴い、「急性期病棟」への異動を依頼される。

このような局面において、「困っている病院を助ける動き方をする」のか、それとも「当初の契約を頑なに守り通す」のか。
これによって、医療機関から先生に対する印象や信頼度は大きく変わります。

先生方のライフステージの変化
一方で、先生方の状況が変わる可能性も当然あり得ます。
ご家庭の事情で勤務日数を減らしたい、当直を免除してほしい、勤務曜日を変更したい、このような転換期に、職場側がこちらの意見を柔軟に受け入れてくれるか否かで、職場への印象は大きく変わるはずです。
そしてこれは、日頃からの信頼関係の有無に強く影響されます。

「一つの職場で末永く働く」というキャリア戦略
昨今、高齢化社会による患者層の変化や人口減少に伴い、精神科の医療機関を取り巻く環境は激変しています。
各病院が生き残りをかけて模索する中、先生方の働く環境に波及が生じることも少なくありません。
また、精神科医の求人数自体も年々減少傾向にあります。
つまり、今後は「環境が変わったら転職する」という選択肢だけでなく、「一つの職場で柔軟に適応し、末永く働く」ことも、非常に重要なキャリアプランの一つになります。
そのためには、職場との良好な関係構築が不可欠です。
契約を守ることは大前提ですが、時と場合によっては柔軟に対応する心構えも持っておく。
それによって先生方と医療機関との間に「お互い様」という双方向の信頼関係が芽生え、結果として、先生自身にとってもより働きやすい環境が作られていくのではないでしょうか。
今後の働き方のご参考にして頂けますと幸いです。