各医療機関は、様々な理由によってカルテを 紙 or 電子 という選択をしています。
そこで本日は、各医療機関が抱えるカルテ事情についてお伝えしたいと思います。

 

 

まず現状についてですが、
精神科の医療現場において、特に精神科病院の場合、電子カルテの普及率はまだまだ低いのが現状です。
電子カルテにしている精神科病院の割合としては全国的に3割程ではないかと思います。

 

しかし、必ずしも「電子カルテ > 紙カルテ」という構図が成り立つわけでもありません。
私共が普段精神科の病院・クリニックとやり取りをしておりますと、精神医療という特性上から、あえて電子カルテを導入していない医療機関もあります。

 

まず電子カルテにする最大のメリットは、
患者様の情報を簡単に共有でき、書類作成も早い。つまりは業務効率が格段に上がるという事です。
実際には精神科専門の電子カルテも出ているように、電子カルテを導入するほとんどの医療機関が上記の理由から電子カルテを採用しています。

 

では、紙カルテを採用している医療機関の理由としてはどのような理由があるのか?
大凡ですが、以下の通りです。

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① 精神科という特性上、患者様と向き合うべき医師がパソコン画面と向き合いがちになる事を良しとしない。

 

② カルテは患者様の要点だけを記載すれば良いという訳ではなく、患者様としっかりと向き合った上で、その時にお話をされた事、表情なども細かくメモして残しておくべき。

 

③ 「先生が目を見てくれない」と患者様からクレームが増えるリスクがあり、患者離れを招くリスクがある。

 

④ 上記①~③の理由から、精神科は電子カルテには向かない科という強い考えがある。

 

⑤ 高齢の医師が多数を占める病院は、電子カルテには不慣れでかえって業務効率が下がってしまう。

 

⑥ 新システムの導入で在籍の医師から不満を招く事があり、複数の退職者を出す可能性がある。

 

⑦ 金銭的にすぐの導入は難しい。
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以上の①~④のように、患者様寄りの考え方から紙カルテの方が良いという信念を貫いていらっしゃる医療機関は多いです。

 

 

 

先生の業務負担を考えると、慣れてしまえば電子カルテの方が負担は軽くなるかと思います。
しかし、必ずしも「紙カルテ=考えが古い」「紙カルテ=働きにくい環境」という事は言えませんし、
医療機関によってこのような考え方の違いがある以上は、紙カルテと電子カルテ双方に対し理解を示す事も重要です。

 

カルテ事情は各医療機関によって違いますが、それ以外の環境や働きやすさがどの程度なのか?も長くご勤務していただく上では考えるべき事だと思います。