精神単科病院の給与比較 ~~急性期病院と慢性期病院の給与はどちらが高いのか?~~

 

転職依頼を頂いている精神科の先生方から「急性期病院と慢性期病院ではどちらが年収が高くなるのか?」「急性期病院の方が慢性期病院で働くより忙しい分、給与は高いのか?」というご質問を頂く事があります。
確かに急性期の忙しい病院と慢性期の比較的ゆったり勤務の病院では、通常の考え方ですと給与は前者の方が良いイメージがあるかと思います。

本日はこの点についてお伝えしたいと思います。

早速、実状についてお伝えしますと給与額相場は、常勤として勤務する場合「急性期病院よりも慢性期病院の方が高くなりがちです。」
勿論、病院によって規定は様々ですので、全ての病院が必ずしもそうとは限りませんが、全国的な相場として慢性期病院の方が急性期病院より比較的高い相場になっている事は間違いありません。(精神単科病院での比較の場合)

では何故、急性期病院の方が給与相場が低いのかと言いますと、理由は以下のような事が影響していると思われます。

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■ 急性期病院(公的病院も含む)は大学との関係が強いケースが多い
 >大学の医局人事の医師に合わせて給与規定を決めている事がある為、また公的病院ともなると公務員になる為、結果的に低くなりがちです。

■ 急性期病院は医師の数が多くなりがちである
 >医師の給与は病院の販管費の中でも多くを占めています。急性期病院は急性期病棟の医師配置の関係で医師の数を多く揃えなくてはなりませんので、診療報酬の優遇はあってもお一人お一人の給与を抑える必要は出て来ます。また病棟の稼働率により収益に変動があった際に医師が多ければ多い程、人件費の割合がさらに大きくなる為(リスク)、お一人の医師に対する額は低く設定している病院もあります。

■ 教育病院という立ち位置が関係している
 >急性期病院はこれから精神科医として経験を積んでいくお立場の先生、つまり若い先生方が集まりがちの為、結果的に高い額を貰っている医師が少ないという事があります。
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ちなみに慢性期病院の実情に触れながら、急性期病院よりも慢性期病院の方が高い傾向にあるのは以下の理由が影響しています。

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■ 病棟の稼働率が安定している傾向にある
 >長期入院の患者さんをメインとしている為、病棟の稼働率が安定傾向にあります。よって収益面でも安定が見込まれる為、給与に還元しやすい環境があります。

■ 病棟の配置人数について
 >急性期病棟の医師配置規定よりも慢性期病棟の配置規定の方が緩い為、その分医師の体制は急性期病院ほどの人数を揃える必要はありません。よって人件費を抑えられる傾向にあります。(病院経営において医師の人件費比率はかなり高めです。)
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忙しさと給与額はイコールではありません。
だからといって指定医の取得前や取得直後に慢性期病院に転職をして、急性期の指定医業務にしっかりと慣れる前にゆったりとした勤務に慣れてしまうのも、先生の今後の指定医としての経験不足という観点からお勧めはしません。(経験不足による将来的なお立場・肩身が狭くなってしまいます。)

また急性期病院から慢性期病院への転職はよくあるケースであっても、逆のケースは稀です。
慢性期病院での勤務に慣れていたり、生活スタイルが確立していると、そのライフワークバランスはなかなか崩せないからです。
よって先生のご年齢、ライフステージによっても慢性期病院への進路はじっくり検討する必要はあります。

もしご自身のキャリアについてのご相談や他の先生方の事例を参考情報として知りたい先生は、お気軽に私共【精神科医の転職相談室】へご相談ください。