
精神科医である先生方にとって指定医取得後というのは今後の進路について考える一つのタイミングかと思います。
過去に私共へも、
「現在、指定医レポートを申請中で指定医取得後はどのような進路に進むのが良いのか?」
「指定医の取得が出来たので、どのような病院や条件で転職を考えるべきなのか?」
というご相談を多く頂いてきました。
そこで本日は、(個々の先生によってご希望やお考え、転職背景が異なる為)どのような道に進むのが良いのかではなく、
過去にこのような道に進んでしまった結果、失敗したという先生方の体験談をお伝えしたいと思います。
以下の情報は私共へ転職相談にいらしたまさにその時のご状況です。
・「指定医取得直後に病院を辞め、ゆったり勤務をしたいと思い完全な慢性期病院に転職した」
・「指定医取得直後に病院を辞め、精神科病棟のない総合病院へ転職した」
・「指定医取得直後に病院を辞め、クリニックへ転職をした」
・「指定医取得直後に病院を辞め、産業医として企業へ転職をした」
上記には共通点が2つあります。
1つ目は指定医取得後に直ぐに病院を辞めてしまったという事、そして2つ目は精神科における指定医業務の経験が出来ない企業や急性期の指定医業務の経験が出来ない医療機関へ転職をしてしまったという事です。
(実際に指定医を取得したにもかかわらず、措置入院の対応をした事が無いという先生方も中にはいらっしゃいます。)
これが今回の転職失敗談です。
つまり上記の先生方は、将来的に数回転職をしようにも、指定医業務が求められる医療機関での勤務に自信が持てないという状況になっているのです。
今後指定医としての期待に十分に応えられるだけの経験(急性期病院での指定医業務)を積んでいないことによって、キャリアの選択肢が狭くなるというリスクがあります。
仮に「今後は急性期病院に戻ることはない」といっても、慢性期病院では、輪番日がある病院もあれば、医療保護入院、場合によっては身体拘束もあります。
今後時代の流れを汲んで、急性期病院へ徐々にシフトしていくという病院もあるでしょう。
そうなった時に不安にならないかどうかです。
転職は先生方のご家庭の事情や生活環境の変化によっても考えなければならないイベントですので、指定医取得後に直ぐに転職という事に関しては先生のご意向を尊重いたしますが、先生にとって今はまだ進まない方が良いという道があります。
その道について先生方と情報共有をしたいというのが私共の願いです。
安易な考えによって指定医取得後の転職で失敗をしている先生方は意外に多いのです。
ここでいう失敗とは短期的なものではなく、長期的な視点で見た時のものです。
わざわざ時間と年数をかけて指定医症例を集めて指定医を取得したにもかかわらず、指定医業務をしていない・経験を積んでいないのはあまりにも勿体ないように感じます。
ご苦労されて取得した精神保健指定医を今後も活かす為に、取得後すぐの転職先は慎重に選ぶべきだと思います。