労働条件通知書や雇用契約書の文言について

転職活動を行う際に利用される書類の中に「労働条件通知書(雇用条件通知書などと呼ばれる事もあります)」や「雇用契約書」があります。
労働条件通知書は内定を頂いた医療機関より先生方にご提示される書面になりますが、具体的にどのような内容で雇って頂けるのか、その内容を明記した重要な書類という事になります。
こちらの内容をご確認頂き、問題ないとご判断頂いた時点で正式に採用が決定するという事になります。
そして、正式に採用が決定した後に先生方と医療機関との間で雇用契約を締結して頂く事になりますが、その際に利用されるのが雇用契約書という事になります。
これらの書類の中には、雇用条件に関する様々な事項が記載されている訳ですが、中にはあまり見慣れない文言や理解に苦しんでしまうような記載があったりします。
そこで、これらの書類を実際にご覧になられた際にお困りにならないよう、よく勘違いを招くような項目について、そのご説明をさせて頂きたいと思います。
実際に契約締結などの作業を行う際のご参考にして頂けますと幸いです。

①契約期間について
書面の中には必ず雇用期間についての記載があります。
そこには「雇用期間の定め有・無」を選択する欄があるのですが、医療機関によっては「期間の定め有」が選択されているところがあります。
※ちなみに医師の契約の場合ですが「2024年4月1日~2025年3月31日」などのように、契約期間が1年と定められている場合が多くなります。
これだけを見てしまいますと、一見1年間で契約が終了になってしまうのではないかとの不安を感じられる事があるかもしれませんが、先生方と医療機関の双方が合意に至れば実際にはこの契約を何度も更新していく事になりますので、必ずしも1年間で契約終了になる訳ではありません。
また有期雇用契約にて通算5年が経過した際には労働者側からの申し込みによって無期雇用に転換する事も可能です。

②残業時間・休日出勤の有無について
書面には残業時間や休日出勤の有無について記載される欄があります。
ここの記載内容が「残業時間:有」「休日出勤:有」となっていると、普段から残業や休日出勤をさせられてしまうのではないかと捉えられてしまう事もあるのではないかと思います。
しかし実際にはそのような意味ではありません。
時間外労働については、そもそも1日8時間・週40時間(法定労働時間)を超えての時間外労働を自由にさせてはいけないというルールになっています。
また休日出勤(週に最低でも1日は休日を与えないといけない、この休日を法定休日と言います)に勤務する事を命じる場合におきましても、自由に勤務を命じる事が出来る訳ではありません。
こういった勤務を命じる場合には、労組(職員)などと書面による協定を結び、それを労働基準監督署に届け出ることが義務付けられています。
この協定の事を正式には「時間外・休日労働に関する協定届」といいますが、労働基準法の36条によって定められているため、一般的には「36協定」という名称で呼ばれています。
つまり36協定の届け出を行っている職場であれば「時間外労働:有」や「休日出勤:有」という記載をする事が可能という事になります。
言い方を変えますと時間外労働や休日出勤をする事が可能な職場という事を示したものであり、必ずしも日頃から時間外労働や休日出勤を行っている職場である事を示したものではないとご理解頂ければと思います。
※逆に36協定の届け出をしていないにも関わらず、時間外労働や休日出勤をさせている職場があったとすれば、それは違法という事になります。

労働や雇用に関わるルールに関しては非常に重要なものであるにも関わらず、今回ご案内させて頂きました内容以外にも見慣れないものも多く、理解に苦しんでしまうような文言もございます。
実際に書面をご覧頂き、ご不明な点などございました際には、まずはお気軽にご相談下さいませ。