転職の前に考えたい「もう一つの選択肢」について

先日、学生時代の同級生A氏と数年ぶりに再会しました。
彼は社員10名ほどの小規模な会社に勤務していますが、昨今の物価高や不況の煽りを受け、経営はかなり厳しいとのことでした。
「業務量は明らかに増えているのに給与は据え置き。生活も苦しくなってきた。やはり転職すべきだろうか、、、」と、深刻な表情で悩みを漏らしていました。
実は最近、これと全く同じような切実なご相談を、精神科の先生方からお伺いする機会が非常に増えています。

精神科病院を取り巻く厳しい現実
背景にあるのは、昨今の急激な人口減少や高齢化社会に伴う市場の変化です。
精神科の医療機関であっても患者数の減少などによる経営難が顕在化しており、そのシワ寄せが現場の先生方に及び始めています。
「勤務日数や当直が増えて業務はハードになったのに、給与額は変わらない」といった、厳しい労働環境に直面している先生も決して少なくありません。
このような状況に置かれたとき、多くの先生方が「この職場に留まるよりも、条件の良い他の病院へ転職すべきではないか」と考えるのは当然のことだと思います。


敢えて提案したい「経営者目線」というアプローチ
しかし、ここで一つ、敢えて違った視点からのご提案をさせてください。
それは、「現職場の経営難を環境や病院のせいだけにするのではなく、自らの力で改善・貢献する努力を試みてみる」という選択肢です。
雇われている立場である以上、どうしても「経営」はどこか他人事になりがちです。
しかし、「現在の厳しい経営状況に、自分自身の動き方や意識が少なからず影響していないか」という当事者意識を持ってみる。
つまり、一歩引いて「経営者目線」を持って働いてみるのです。
こうした視点を持てる人材は、医療業界に限らず、どのような組織に行っても間違いなく重宝されます。
現場の最前線にいる先生だからこそ気づける課題を見つけ、実際にそれを解決する結果を出すことができれば、その経験はご自身の唯一無二のキャリア(強み)になります。
将来的に院長や理事などの経営層、あるいは組織の幹部として活躍する際にも、これ以上ない強力な武器となるはずです。

7割の医療機関が赤字の時代だからこそ
現在、全国の医療機関の約7割が赤字経営に陥っているというデータがあります。
業界全体がこうした厳しい構造的課題を抱えている中では、単に「隣の芝生」を求めて転職することが、必ずしも根本的な解決策になるとは限りません。
次の職場もまた、同じように苦しんでいる可能性があるからです。
だからこそ、まずは「今の職場の経営を良くするために、自分には何ができるだろうか」と考えてみる。
紹介患者を増やすための地域連携の見直し、算定漏れのチェック、あるいは業務効率化によるコスト削減など、現場からアプローチできることは必ずあります。
ただ環境を変えるだけでなく、自ら環境を良くするための挑戦をしてみることも、この時代を生き抜く医師として非常に価値のある、重要なキャリア戦略ではないでしょうか。
紹介会社の私共がご提案するのも変なお話ですが、今後のキャリアの選択肢として、ぜひご参考にして頂けますと幸いです。