精神科医の転職市場における最新動向とキャリア戦略

弊社では過去に数多くの精神科の医療機関との間で、医師の採用に関するやり取りをしてきました。
一言で「医師の採用」と言いましても、以前と現在では精神科医の転職を取り巻く環境自体が大きく様変わりしてきており、まったく別物と言って良いほど大きく変化したように感じております。
まず、一番に変わった点は何かと言いますと、過去にも何度かご説明をさせて頂きましたが「売り手市場」⇒「買い手市場」にシフトしつつあるという点です。
精神科医が転職についてお考えになられた際には、募集を行っている医療機関も多数あり、案件を探すことについてはそこまで苦労するような事は少なかったように思います。
また労働条件などに関しましても、医師側にとって好条件と言われる内容でやり取りされる事が多く、医師が希望している事が概ね受け入れて頂けるような場合が多かったように記憶しております。
しかし、ここ最近ではその傾向が大きく変わりつつあり、案件を探しても直ぐには良い案件が見つからなかったり、仮に見つかったとしても条件面が良くなかったりと、明らかに難しい環境になりつつあります。

もう一つ、以前と比べて明らかに違ってきた点は、精神科の医療機関における採用リテラシーの向上という点が挙げられます。
以前は医師の採用試験と言いましても、応募してこられた先生方をふるいにかけるというよりも、如何にして入職して頂けるのかを優先して採用試験が行われていた事が多かったのですが、ここ最近では医師の採用試験におきましても、ふるいにかけられる場合も多くなっており、時には複数の候補者の中から比較検討されたうえで、最も相応しいと評価して頂いた医師のみが採用して頂けるというような場合も増えてきております。
更に、過去に精神科の医療機関で実施されていた採用試験(書類選考や面接)の内容に関しましても、以前はそこまで細かな点について確認されるような事は少なかったのですが、ここ最近では書類選考、面接共に難易度がアップしてきており、試験を突破するために事前の対策等を行う必要性が高まるなど、明らかにハードルが高くなってきた印象を受けております。
つまり、医療機関の採用リテラシーが向上したことで、単に「精神科医であること」の価値よりも、「自院のニーズ(指定医・専門医、特定の治療スキル、当直対応可否、お人柄など)にどう合致するか」などが厳しく問われるようになっています。
そこで、採用試験に参加して頂く際には、他者と比較検討されることを前提に、自身の専門性や強みを客観的にプレゼンできる準備が不可欠であり、精神科の医療機関における採用リテラシーは大幅に上がってきていると言えます。

こういった状況の中で考えるべきことは、安易な転職は出来るだけ控えて頂き、まずは経歴を汚さないように注意して頂く必要があります。
書類選考の段階で転職回数が多い、勤務期間が短いなどは致命的になってしまう事も少なくありません。
過去の経歴についても、しっかりとその経緯や内容を説明出来るようにしておくことが重要です。
また面接の際には「なぜ転職したいとお考えになられたのか」「転職した後にどのような事をしたいとお考えになられているのか」「職場に対してどのような貢献をすることが出来るのか」など、転職する理由や目的、職場に対する貢献度などについて明確に説明できるように準備して頂く事が大事です。
これから先の精神科医の転職に関しましては、医療機関側のリテラシーが上がるだけではなく、ライバルとなる他の先生方との競争倍率が高くなるなど、更にハードルが高まる事が想定されます。
その流れの中で、ふるいにかけられないようにして頂く事も非常に重要な事ではないかと思います。
今後のキャリアプランについてご検討頂く際のご参考にして頂けますと幸いです。