開業前の転職、将来の開業の話はどこまで伝えるべきか?

 

精神科は費用面で他科に比べ開業がしやすい科です。
医療機器の導入はほぼありませんし、駅前の好立地は人目を気にしてむしろ患者様が避ける傾向にありますので、あえて駅前の好立地を避けた方が良い事(家賃が低く抑えられる)もあります。
またこれらが影響するのかは別としても精神科の先生方の中には、将来的に開業を視野に入れていらっしゃる先生方がおります。

では(開業前の)転職時に将来的な開業の事は、面接で医療機関側に話した方が良いのか?
このような事が頭に浮かぶかもしれません。
実際に過去に開業を考えている先生方から同じ質問を受けた事があります。

そこで本日は、「開業の話は転職時の採用面接で、どのように医療機関側へ伝えるべきか?」もしくは「黙っていた方が良いのか?」についてお答えしたいと思います。

まず、転職の際に将来の開業の話を転職先候補の医療機関へするのは基本的に悪い印象を与えます。
理由は…
転職先候補がクリニックの場合は特に将来的に近隣で開業するかもしれない、患者様を取られてしまうかもしれない、辞める事が確実な先生をまず採用しません。
精神科の場合は先生と患者様のお付き合いが長くなる傾向がある為、尚更その先生の担当患者様が丸ごといなくなってしまう可能性があります。
転職先候補が病院の場合も将来的に確実に辞めてしまう先生、足掛け勤務という印象の先生を良く思わない理事長、院長もおります。
(一部の病院ではあえて近隣で開業していただき、患者様の入院先、紹介先として深い関係性を築ける為、悪い印象にはならないケースもあります。)

では開業の話はしない方が良いのか?
私共の結論は以下の通りです。

■将来的に開業を考えてはいるが明確ではない。正確な時期や場所は勿論まだ何も話が進んでいない。このような場合は、先生の心の中にしまっておくべきだと思います。当然今後先生のご意向が変わる可能性もあるわけです。不確定の事はあえて言う必要はありません。
(開業に限らず、僅かでも可能性のある事は事前に全て話しておかないといけないというような事はむしろありません。)

■開業は近い将来確実にする考えがあり、また実は具体的に話が進んでいて、具体的な場所を決めている、場所を抑えている、といった場合であれば黙って常勤として転職するのはよろしくありません。事前に申告された上で理解を得るか、開業までスポット勤務等の非常勤勤務をお勧めいたします。

開業をお考えの先生は開業までの道のりについて、よくお考えになると思います。
狭い医療業界ですので、少なくともお世話になったクリニックや病院に対し、迷惑な開業とならないような手段を取っていただく事をお勧めいたします。