指定医取得までの勤務の中身が重要なワケ

 

ご存知の通り、精神保健指定医の取得には臨床経験5年以上、うち精神科常勤での経験が3年以上必要です。
本日は指定医取得までのこの3年間についてお伝えしたい事があります。

それはこの3年間で指定医に必要な症例を集める事が大事である、とかそのような当たり前の事ではありません。
『働き方の中身』についてです。

実は、これまでに指定医の取得を目指されている先生方から非常に多くのご相談を頂いてまいりました
・「指定医の取得が出来る病院、取得実績が豊富な病院を紹介してほしい。」
・「指定医症例があると聞いて今の病院に入職したが、実際にほとんど来ない症例がある。確実に指定医症例の来る病院に転職したい。」
・「指定医の取得までに指導体制の整っている病院を紹介してほしい。」
・「指定医レポートの添削や症例カンファをしっかりやってもらえる病院を紹介してほしい。」
…etc

そのような中、「指定医は取りたいが、週4日勤務で当直はやりたくない…」といったような若い先生方が中にはいらっしゃいます。

このようなお考えがある先生は、今後もし本当に精神科医として働くのであれば、よく考える必要があります。
正直そのような省エネの働き方はお勧めではありません。
(お子様が小さい女性医師やご家庭の都合などで、どうしてもご事情的に難しい先生方は除きます。)

何故なら、指定医取得までの3年間(精神科経験が無い場合)は、精神科医としての土台を築く上で非常に大事な時期だからです。
省エネ勤務で結果的に運良く指定医を取得されても、イレギュラーなケースや急性期の経験・症例が少なければ、指定医の取得をされてもその後ご苦労されるのは先生ご自身です。
指定医としての勤務を求められているのに、指定医として期待されているのに、指定医業務や実績が十分ではない…。
これでは肩身の狭い環境になる事は目に見えています。

また当直に関しても、当直帯に指定医の先生方がどのような動きや仕事をされているのかを間近で見れる、また改めて現在院内にはどのような患者様が入院をされているのか全体を見通すには、当直は非常に良い経験です。
むしろ「入りたい!」という気持ちが大事です。

ちなみに、省エネ勤務で注意しなければならない点はまだあります。
まず受け入れの医療機関側からの印象や評価があまり良くない(採用ハードルが高くなる)事、そして仮に勤務出来たとしても、指導医の先生や在籍している他の先生方からの印象も下げてしまう事もあります。
「あの先生は指定医を目指している状況なのに、何故週4日勤務で当直もしてないのか??」「他の先生は当直に入っているのに何故??」なんて評価が付いてしまう事で、これも働き辛い環境になってしまいます。
病院は組織ですので、このあたりも考えなくてはなりません。

上記について「頭では分っているが・・・」という先生もいらっしゃるかと思いますが、以上は私共が多くの医療現場の院長、事務長、そして体験した先生方から聞いてきた事です。
色々とよろしくない話を出してしまいましたが、これらがお勧めできない理由です。

指定医を取得後は勤務の幅は広がりますし、給与額も取り返しが出来ます。
長い医師人生の中でこの3年は長いと見るか、短いと見るのかはありますが、給与(お金)と違い、この3年という大事な時間だけは後で取り返そうにもなかなか出来ません。
指定医取得までの3年間の働き方はしっかりと地盤を固める事をお勧め致します。