転職時「指定医」「専門医」「指導医」の優位性について

 

これから精神科へ進もうとお考えの先生や、現在指定医や専門医を目指している先生方から以下の事を聞かれる事があります。
「専門医まで取得する必要はあるのでしょうか?」
「転職の際、専門医を持っている事で優位になるのでしょうか?」
「指定医や専門医、指導医は、どれが転職の時に病院側から重宝されるのでしょうか?」」

本日はこの件について、採用側である病院の見解をお伝えしたいと思います。
(弊社が過去、数百もの病院と数千回によるやり取りによるデータです。)

まず、医師募集時に病院側の求める最も優位性があるのは、精神保健指定医です。
「専門医よりもまずは指定医を取っていただきたい!」「指定医の先生の採用がしたい!」というのが病院側の本音です。
と言いますのも、ご周知の通り指定医は厚労省管轄の国家資格であり、医師(指定医)の配置規定による診療報酬への影響が大きい事、また指定医にしか行なえない業務があるという事が主な理由です。
(診療報酬改定の際にも指定医の体制について触れられ、見直されるケースが多々あります。)

特に急性期の患者様を受け入れている病院では、措置入院や医療保護入院、また身体拘束の面でも指定医は必須ですので、「指定医を目指してもらいたい」「指定医の先生が必要」というご意向が出て来るのです。
また慢性期病院であっても医療保護入院はありますので、やはり指定医の資格は必要になってまいります。

ちなみに、給与額のアップ率についても指定医の有無が最も額に影響を与えます。

では(精神神経学会の)専門医、さらには指導医についてはどうなのでしょうか。
御周知の通り、専門医・指導医は国家資格ではありませんが、学会が認定している他科でもよく耳にする資格です。

精神科専門医については多剤処方というメリットはありますが、ある程度決まった薬で対応している病院もあり、実は精神科においては現状それほど優位性はありません。
専門医の有無によって給与額に大きな差が出るという事は、これまでの事例でほとんどありません。

ちなみに、実際に各医療機関側へ先生方をご紹介させていただく際にも、医療機関側から指定医の有無は必ず確認され、お持ちでない場合は応募を断られるケースはありますが、専門医はお持ちでないからという理由で応募を断られたケースは過去ありません。

ただ指導医については、施設基準を取りたい病院やこれから若い研修医の先生方を採用したいというご意向がある一部の病院からは歓迎されます。
経験の浅い先生方を指導する業務が発生する可能性もある為、特に急性期を主体とする病院は医師採用において指導医の有無に重点を置いている事はあります。
また先生側のお考えとしても、将来的に若い先生方の教育・指導に関わっていきたいという事であれば、専門医取得後に指導医まで取得なさるのは良いかと思います。

以上は、多くの病院側のご意向を総括した内容です。
病院の採用側の立場としては、主に「専門医や指導医の有無よりも指定医の有無に重点を置いている」という状況が見られます。
(勿論、専門医と指導医はどうでもよいという事ではありません。)

専門医や指導医を将来的に取得をお考えになる事は良いと思いますが、指定医がこれからという先生におかれましては、まずは確実に指定医が取得出来る環境下に身を置かれる事をお勧め致します。