精神科医のキャリア選択「転職か 開業か?」

 

30〜40代で増える“分岐点”
精神科医である先生方のキャリア相談では、30〜40代になってから悩みが増える傾向があります。
私ども【精神科医の転職相談室】では転職支援と開業支援を行なっていますが、「指定医資格を取得し、次は給与や生活を改善したい」「家族が増えて働き方を変えたい」「忙しい急性期勤務を続けるべきか」「将来開業も視野に入れたい/開業をしたい」といったお声を頂いています。
経験を積んできたからこそ「次はどう働くか」を考える時期であり、他の先生方の成功例をそのまま真似るのではなく、ご自身の価値観や環境に合った選択が必要だと私どもは考えています。

転職という選択肢
転職のメリットはいくつかありますが、働き方や収入を柔軟に調整できること、また勤務医ということですので、運営面は経営陣に任せ、目の前の患者さんに集中できる環境ということ等が挙げられます。
近年、精神科医の需要は高齢化や職場ストレス対策の充実により高まっており、病院だけでなく在宅医療や企業など多様な勤務先にまで広がっています。

開業の魅力と準備
需要の高まりを背景に、将来自分の理念で地域医療に貢献したいと考える先生も少なくありません。
開業のメリットについてもいくつかありますが、自身のやりたい医療や専門性を誰からの拘束も受けずに作れるということ、近年建築費などの高騰はしているものの、これら左記の環境が他科よりも比較的初期費用を低く抑えながら作れるということ等が挙げられます。

気を付けたいポイント
転職では、求人サイトの情報を鵜呑みにしないことが重要です。
ネット上の求人情報は大まかな条件のみで、採用側の熱量や内部事情までは反映されていません。
実際に応募後に条件が改善したり、他院の方が合っているケースも多くあります。
特に給与額については、求人票の上限は参考値に過ぎません。採用面接後に上がって良かった反面、中には高額提示が業務負荷増の場合もあり、慎重に判断するべきです。
また当然ですが、病院の方針や文化(医局内の雰囲気なども含む)などの内部情報の見極めも重要です。
勤務条件などは可視化しやすいものですが、入職してから「これは想定していなかった…」が起こるケースもあるからです。内部情報は可能な限り得てから転職先を選定することをお勧めします。
これらの情報提供は是非、信頼できるコンサルタントに内部情報の確認や条件交渉を任せることで、ミスマッチを事前に防げます。

一方、開業を考える場合は「現職が嫌だから」「勤務医には向かないから」という理由だけで開業の話を進めてしまうのは危険です。
これまで病院勤務のみの先生方におかれましては、クリニックでの経験も必要です。理由は病院とクリニックでは外来の数や中身も大きく異なるからです。
一つの成功例として(必ずしもというわけではありませんが)、先にクリニック勤務や管理職を体験し、情報や管理を学んだ上で開業をする先生方は多いです。
またミニマム開業で一人で全てを抱えるスタイルは、役割分担の難しさや負担増につながるので、長期的には二診体制や譲渡も戦略に入れ、資金計画や地域ニーズ分析も統合的に行う必要があります(特措法についても、いつ終了となるかどうかは読めません)。
開業は先生ご自身だけでは競合クリニック情報や物件情報を得たり、事業計画や運営戦略などの立案が難しいケースもあるかと思いますので、プロの開業コンサルに相談をするというのも手です。

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転職にしても、開業にしても、精神科医のキャリア選択には正解がなく、転職か開業かは先生方ご自身の価値観やライフステージによって考えるべきです。
特に30〜40代はキャリアの岐路に立ちやすい時期ですが、需要の高さと選択肢の広がりを踏まえ、まずはご自身がどのような働き方を望むのかを優先順位などを考えながら明確にしていくことが重要です。