1 転職を考え始める背景と時期
精神科医である先生方が転職を意識するタイミングには、共通の節目や理由があります。
例としては、精神保健指定医の取得に必要な症例が集まらない病院(指導風土の問題も含め)に在籍しており、指定医取得のために症例が豊富な病院へ移る場合や、指定医取得後に急性期中心の勤務から慢性期へ移りたい場合があります。
さらに、特定の領域(認知症や児童思春期など)に集中したい、精神科専門医取得後に次のキャリアを探す、ご家庭事情やご体調の変化で負担を減らしたい、院内の人間関係や病院方針に疑問がある、引っ越しを余儀なくされる、など多様です。
2 活動開始は半年〜1年が目安
転職時期を仮に4月とした場合、その準備は前年の8〜10月頃から始める先生が多いです。
近年はさらに早まり、1年前の4~5月頃から動き始める先生方も増えています。
その背景には、転職活動に1〜2か月以上の時間がかかることや、退職届を出す期限が3〜6か月前と決められている職場が多いことが挙げられます。
上記の通り4月入職を希望する場合であれば、年末までに退職申請を済ませる必要があり、そのためには遅くとも11月頃に活動を始める計算です。
大学医局ではさらに時間がかかることケースも多く、注意が必要です。
3 早すぎても良くない?
ただし「早ければ良い」とは限りません。
あまりに前倒しで打診や応募をすると、医療機関から「入職時期が先すぎる」と断られることもあり得ます。
ただ逆に転職先が決まって、現職を慌てて辞めることも避けたいところです。
現職での患者さんの引き継ぎ、院長や同僚への報告を丁寧に行わないと、そこは狭い医療業界ですので評判を下げる恐れがあります。
ちなみに、多くの病院は医師が一人欠けただけで負担が増える体制なので、他の先生が先に退職を申し出た場合、自分が辞めづらくなることもあります。
転職先が決まったら早めに退職申請を行い、3ヶ月~半年程度の余裕を持って引き継ぎと準備を進めるのが理想です。
(感謝の気持ちを伝えれば、退職申請後の気まずい雰囲気で働かなくてはならないということも軽減できます。)
4 ご縁とタイミングを逃さない
「もっと条件の良い求人が出るのでは」と考え、見送った求人がその後と出てこなかったという事例もあります。
先生にとって良い求人は他の先生から見ても魅力的なケースは多分にありますので、待てば待つほど先に出てきた求人が閉まってしまう可能性も高くなるわけです。
早期に動きつつも、目の前のチャンスを逃さない決断力が必要ですが、このあたりは市場状況や過去の募集実績などを鑑み、私共は先生方へアドバイスさせていただいております。
また病院側は院長交代や法人変更で方針が大きく変わることがあり、慢性期中心から急性期へ転換、認知症病棟の新設、電子カルテ導入など大きな変化が起きる場合もあります。
現職や転職先候補の病院の動向もチェックし、時期を見極めることも重要です。
5 自分のペースと市場の動きの両方を意識
転職のタイミングは「自分の事情」と「市場の動き」の両方をバランス見ることも重要です。
指定医や専門医の取得時期、ご家庭の事情、希望する働き方など、ご自身の軸を整理し、半年〜1年の余裕を持って活動を始めることで、退職準備や情報収集にゆとりが生まれます。
早すぎず遅すぎず動くためには、信頼できるコンサルタントに相談し、客観的な助言を受けることも有効です。
もしご縁があり、私共【精神科医の転職相談室】とお付き合いのある先生方におかれましては、以上全てご支援させていただきます。