指定医を取得された後の身の振り方について

先日、とある精神科病院より精神科医の募集についてのご相談を受けました。
こちらの病院ですが他院と比べて最も分かりやすい違いはスーパー救急を行っており、措置入院をはじめ急性期から慢性期まで様々な患者が来院されるという事になります。
そのため指定医の取得も可能で、過去には多くの医師が実際に指定医を取得された実績がある病院です。
今回の医師の採用では医師の増員を予定しており、既に指定医をお持ちの先生はもちろん、これから指定医の取得を目指す非指定医や他科からの転科をご希望の先生、場合によっては初期研修を修了された3年目の先生など、幅広い層の医師を募集する事をお考えになられておりました。

そこで病院の医師採用の担当者様より医師の求人について詳しく内容を伺う事にしました。
その際にご担当者様より先生方に対し1つだけお願いがしたい事があるとのお話が出て来ました。
そのお願いというのが、これから指定医の取得を目指す先生方へのお願いという事だったのですが、可能であれば指定医を取得された後、直ぐに他の医療機関へ転職してしまうのではなく1年や2年でも構わないので、しばらくの間、こちらの病院に残って頂き指定医としての業務に携わって頂ければ大変有難いという事でした。

実は過去に指定医を取得された先生方の多くが、指定医を取得されたあと早々に別の医療機関へ転職してしまうようなケースが続いてしまったようなのです。
もちろん先生方のご意向を強制的に変える事は出来ませんが、指定医の取得に協力した病院側の本音としましては将来の戦力に対する先行投資的な意味合いがあります。
指定医を取得された後には指定医として、こちらの病院で勤務して頂きたいと考えている病院も多く、それに期待して指定医の取得に協力しているという背景が少なからずあります。
そのため取得後に即転職という事になってしまいますと、病院の思惑とはかけ離れた結果という事になってしまうのです。

先生方が早々に他の病院に転職してしまう背景には何らかの理由が潜んでいる事だと思われます。
しかし1年でも2年でも病院に残り継続して勤務される事は病院に対し大きな貢献に繋がる事は間違いないです。
狭い精神科の世界の中で、こういったポジティブな話が長い精神科医としての活動のどこかで先生方の株を上げる事に繋がるかもしれません。
指定医を取得された後の身の振り方について、どういった選択肢を選ぶべきなのか改めてお考え頂けると良いのではないかと思います。
そしてお勤めされた医療機関との良好な関係性を維持していく事は、精神科医として活動していく上で非常に大事な要素の一つになると思います。
是非、ご参考にして頂けますと幸いです。